スクランブラーとバイク屋のおやじ3人でキャンプへ その2




2日目は悪天候の酷道で

翌朝は、高田さんと乳深さんの話声で目が覚め、テントを出ると今にも降り出しそうな曇り空でした。朝食を取りコーヒーを飲んでいると、雨が降ったり止んだりで、テントやタープの撤収の頃には雨になっていました。
撤収が終わり、高田さんを先頭に走り始めます。明君のトライアンフ エクスプローラーで一緒だった時と同じルートでしたが、途中からはどうやら冠山へ向かっているようです。
途中で足元をすくわれるようにツルッ ツルッと何度も滑り、路面が雨で濡れているのでどこで滑るかまったく見当がつかない悪条件。
キャンプ道具を積載したスクランブラーはサスも沈み込み、未舗装のダートのほうがはるかに楽に思えるような滑りやすい舗装路を登り続け、標高が一気に上がりました。

BMW GSやタイガー数台で高田さんの後ろに続き、とんでもない長い急斜面で高田さん以外全員がスタックして、息も絶え絶えに助け合って急斜面を登った日のことがよみがえってきました。あの日と同じように、高田さんのいたずら好きが始まったようである。
ハイテク・デジタルデバイス満載の最新バイクに乗り、ナビゲーション任せのルート案内によって、片側絶壁、苔が生え滑りやすい路面には落葉や枝、そして高低差が激しく登るにつれ霧が濃くなる悪条件のこの国道417号線なんかを、当店の初心者のお客様が案内されたら・・・想像するだけで背筋が凍りつきます。
雑誌などの「最新のトラクションコントロールもABSなどデジタルデバイスが付いてますから、どんな路面でも安心して乗れますよ!」と、悪条件になればなるほど本領を発揮するからなどという、初心者やリターンライダーの方を煽り立てるような無責任なコピーをベースにした、あまりバイクに乗らないメーカー色の強い専売店スタッフのセールストークが聞こえてきそうです。こんな条件下で実体験してみれば、いかがなものかな・・・と、走りながら考えていました。
雨の中国道417号線で峠越えのルートで帰ることになりましたが、昨日より天候も悪く霧も出たりで正に酷道417号線でした。

3人の平均年齢は58歳で、高田さんほどのバイク歴はないけれど、乳深さんも僕もそれなりにバイクを楽しんで乗り続けて来た経験があります。長年の経験によりスキルアップもしているからこそ細心の注意をはらう事で、この様な酷道でも何ら苦にすることもなく、バイクとの一体感を楽しめるのだと思います。
R.B.R Motorcycle 乳深さんのブログ
スクランブラーライディング 第70回トライアンフ・スクランブラーNWJC2014仕様3台で行く、その1
スクランブラーライディング 第71回トライアンフ・スクランブラーNWJC2014仕様3台で行く、その2
それは、バイク屋として長年バイクに乗り続けた事での実体験から得た多くのことは、等身大のバイクライフを楽しんでもらうためにも、アドバイスとして提案することが必要不可欠です。

メーカー出荷状態のスタンダードでは決して楽しめない!

今回の2代目スクランブラーはもちろんのこと、新車の状態でもコンディションを含みトータルバランスが整った完成車両は存在しない!私自身、初代スクランブラーの乗り出しから10年目になり、その深化の過程は十分に承知しています。
最初に乗った時の事を思うと、ライデングポジションには違和感があり、エンジンの鼓動感はVツインの様で心地いいけれど、乗り味までもがクラッシックでロングツーリングはちょっとなー!?といった感じでした。
エンジンはギクシャクしてスムーズに走らせようとすると半クラッチを多用しなければいけないし、サスペンションは少しの路面の起伏で突き上げるしバタついて落ち着きがないしで、どうしたもんだろうと思っていました。
うちのカミさんは、ほぼ新車状態のスクランブラーに乗って九州方面へツーリングに行ったことがありますが、高速でも安定感がなく、マフラーは熱いし・・・などなど、それきり二度とスクランブラーに乗ることはありませんでした。
しかし、空冷モダンクラシックのボンネビルSEは熟成されNWJC2014仕様となって、うちのカミさんとはベストマッチでした。NC750XLDに乗り換えた今でもボンネSEに再び乗りたいと常々口にしています。それは、メンテナンスやカスタムによる車両のトータルバランスがいかに重要であるかを如実に物語っているのではないでしょうか。

トライアンフから水冷となったNewモダンクラシックシリーズが発表となり、カミさんが、ボンネビルSEにもう一度乗りたいことを常々口にすることもあって、ボンネビルSEにも似た車格の水冷ストリートツインを早速試乗してみることにしたのですが・・・。
ストリートツインは、ボンネSEよりも取回しは軽く足つきも良く、初心者や女性ライダーにはお勧めかもしれませんが、アクセルのライドバイワイヤーはタイムラグが違和感となり、アクセルの操作感をはじめアナログのボンネSEのほうが断然よいフィーリングでした。
タイガー・エクスプローラーもライドバイワイヤーでしたが、エクスプローラーは反応もよく微調整ができるぶんだけ操りやすく、荷物を積んで林道へ入り込むことも容易にできていました。
バイクショップ可児 店長のバイク日誌
NC750XLDとタイガーエクスプローラーで比較キャンプツーリング
ノースウイングJC スタッフのバイクライフ
No.29タイガーエクスプローラーとNCでツーリング
慣れれば巧く乗れるかもしれないと思い、ストリートツインを検討することにしたのですが、高田さんから水冷シリーズに関しては、ダールパニアなどのロングツーリングも楽しめる、2014仕様にも似た仕様はまったく考えていない!やっぱりトライアンフはアナログの空冷モダンクラシックでしょう、と断言されてしまいました。
毎年ロングツーリングをソロで楽しむ、うちのカミさんとしては、積載性なども含みトータルバランスの高かったボンネSE・NWJC2014仕様と比べて、水冷モデルに関しては何も予定されていないと聞いてあっさりと断念。
それは、スクランブラーやカブ110NWJCコンプリートをはじめ、NWJCでお勧めのバイクは、総てバイク乗りとしての実体験に基づき、自らが納得できるメンテナンスやカスタムにより仕上げられている証でもあります。
私はいつもではないけれど、工業製品であるオートバイに人の手が入り、実体験により違和感を対策して、使い慣れた道具として仕上げられていく、その過程を長年にわたって見てきました。
その姿勢は、等身大のバイクライフを提案している私にとって参考にするところも数多く、バイク屋は自分自身がライダーとして、乗り続けて楽しむことができるバイクライフが不可欠であることも共感できます。

バイク屋なのかバイク流通業なのか

同じ可児市下恵土に、世界的に有名で国内外の有名なミュージシャンからも信頼を得て使用されている、株式会社ヤイリギターというギター工房があります。
81年の歴史を持ち今なお手工生産で、コンセプトは「世代を超えて愛され続けるギター。年月を重ねても色あせないデザイン、使い込むほどに深みが増す音色・・・」「ギターを通じてお客様とずっと長くお付き合いをしていきたいと考え、製品には永久品質保証を付け、可能な限りメンテナンスとリペアーに対応」(HPから抜粋)
ギターの事を知り尽くし、弾き手が求める音色を奏でられるよう創り出す、正に工芸品なんだと思います。
私はギターも弾けないし持ってもいないけれど、尊敬の念を抱き、おこがましけれど憧れでもあります。バイクとは物は違うけれど、バイク屋としてライダーのためにそうありたいと思います。
昨今のオートバイ屋の傾向はバイク(商品)を売るための企画やキャンペーンのBeforeサービスばかりで、売ることを最優先したバイク流通業のようです。
販売してからは、違和感などに対しては「こんなものです」という対応で、消耗品交換とテスターチェック、ボルトオンパーツの組み付け等のAfterサービスを主体としたメーカー色の強い専売店が増えているようでもあります。
我々バイク屋は、ライダーを主体として、自らライダーとして実体験をした経験や勘を生かし、等身大のバイクライフなどを楽しめるようにするために、乗り始めてからのバイクライフに価値を見いだせるアフターフォローができる、バイク屋でりたいと心に思う次第です。

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