店長のバイク遍歴と日本に合うバイク




私自身、長年色々なバイクに乗り、楽しんできました。年も重ねてきまして、一人のライダーとして長年の経験から、気負わず、スペックや車格にこだわらずに、本当にバイクを楽しめるのは、「等身大のバイクライフ」であると考えるようになりました。
バイクの楽しみ方は十人十色ですが、私自身は、バイクの楽しみはツーリングにあると思い、その道具としてのオートバイはデュアルパーパスが大好きでした。行く先がオンロードであれオフロードであれ、長距離を走るのにポジションも正立のため楽で、目線が高く視界の広い、という理由です。

これまで、’87にホンダが限定販売したトランザルプ600Vを皮切りに、アフリカツイン650、’90アフリカツイン750、’93アフリカツイン750などに、ツーリングライダーとしてもステータスでもあったBMWには、約15年ほど乗り続け、R1100RT、 R1200C、R1150GS、R1200GS、K100RS、K1200LT、F800GSと乗り継いできました。



最初に乗ったR1100RTは、一般道でもファイナルのギアレシオなどがベストマッチで、とても楽しめるバイクだったと思います。ただ、R1150GSに乗り換えたころから、ギア比はロングの傾向になり、楽しめる・楽しいと思える速度が高くなりはじめたと感じるようになってきました。
次にR1200GSに乗り換えたのですが、車両重量はスペック上は軽くなっているのに、ファイナルがロングになった分、林道へ入っても使いにくくなっていました。旧型のR1100GSを友人から借りてよく乗っていたのですが、こちらのほうが重量はあっても、体感的には軽く乗りやすいと感じました。
ロードモデルはK1200LTに乗っていました。K100LTよりも排気量はありましたが、タンデムで一般道を走るときなど、低中速で流れに乗って流す時は、古い2バルブのK100LTのほうが、2バルブエンジンの特性でネバリもあり使いやすく、シート形状もK100LTの方がパセンジャーには快適だったようです。
一方K1200LTはネバリがないので、渋滞などのノロノロ状態では、半クラッチを絶えずあてていないと辛いものがありました。道路事情にマッチしていないエンジン特性もあって、スペック以上の車格に感じてしまい、どれだけ乗っても(息子とタンデムで北海道へ行ったりもしました)とても疲れるバイクだったので、わずかの間乗っただけで手放してしまいました。

ところで、ホンダのGL1500やGL1800を友人から借りてツーリングしたことがあるのですが、アイドリング状態からクラッチを離すだけでスルスルと動き始める安定したトルク感は、フラット6エンジンの低重心とも相まって安定感が抜群!大きな車体に大排気量の、スペック的には400Kgオーバーの車格でも、とても扱いやすく、ハンドルポジションや足つきなども違和感なく好感が持てました。
このあたりは、日本の道路事情を知り尽くしたホンダならでは。日本の道を旅するならば、最近マイナーチェンジした最新のGL1800だったらもっと楽しめるだろうし、カタログスペックでの大きさよりも小さく感じられるので、乗りやすくてシックリくるということを、実感できるはずです。88年の発売以来、トラブルも少なく信頼性や耐久性も、ホンダならではだと思います。
話がそれましたが、そんなあるときBMWのバイクはもう……と決定づけることになった大事件がありました。
ノースウイングJCの高田社長をはじめ、Bigオフロードに乗っている仲間たちと、R1200GSで郡上の林道へ定例ツーリングに行った時のことです。対向車をやり過ごす時に立ちごけをしてしまったのですが、その後しばらく走ってから、それまでどおりコーナーの手前でブレーキを掛けると、フロントもリアもまったくブレーキが効かなくなったのです。
何度レバーを握っても、ペダルを踏んでも減速させられず、「このまま崖から落ちて死んでしまうのでは??」という恐怖に慄きながら、なんとか土手を上って車両を止めるという経験をしました。あれが登りでなく下りだったらと思うと…考えたくない結果が待っていたようにも思い、とても強運だったと思います。
そこから山を下ることができず、どうしようかと途方に暮れていると、高田さんが、「コンピューターが知恵熱を出してるから、時間を置いて熱が冷めたら治るんじゃないの?」と笑えない冗談を言っていたのですが、実際に40分ぐらい経ったら、何と!!何ら問題もなく治って???ブレーキが効くようになっていました。が、また同じ症状が突然出たら…と恐る恐る山から下りてきたのでした。

それ以来、ステータスだったBMWは儚い夢となり、BMWというブランドイメージの信頼性などとは程遠い、コンピューター制御のブレーキ系やハイテク技術に疑問を持つようになりました。
車格は大きくなるばかりで、ますます日本の道路事情に合わない車両になり、バイクというよりハイテク満載のクルマ感覚の乗り物だと思うようになりましたが、とはいえ、何となく心残りの所もありましたので、その後アフリカツインに近い排気量のF800GSに乗りました。

でも結局、PCハイテクの、原因がはっきりとしない怖い思いをしたことが、潜在意識の中で暗躍していることをはっきりと実感する結果となり、新しいハイテク満載のバイクでは楽しめない自分に気づきました。なにしろ突然フリーズ状態になるといっても、パソコンとバイクでは違いが大きすぎます。
BMWを振り返ってみると最初に乗ったR1100RTが一番楽しかったように思います。
そういえば、NWJCの高田社長が、なぜBMWの旧いOHV系を好んでいるのか?R80GSで林道を楽しみ、オンツーリングではOHVのR100RT、R100RSを楽しみ、手放さず大切に使っているそのワケを直接聞いたことはありませんが、おそらく訪ねてみてもすべてを言葉にはされないような気がします。でもその理由にはハッキリと気付きました。
そんな経緯の中、5年ほど前から乗り始めたトライアンフ スクランブラーの鼓動感は、アフリカツインにも似た心地よさがあり、気負わず楽しんでいる自分があることで「等身大のバイクライフ」ということを思うようになったというわけです。

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