ダウンサイジングにてVTRを楽しむ!


2016年12月28日 | VTR,ホンダ


自分自身の不徳の致すところがあったにしろ、負の連鎖から認めたくない老いにささやかな抵抗を試みてはいます。しかしダウンサイジングによる手軽さと自由気ままな楽しさによって、見栄や衒いを脱ぎ捨てて気負わなくてもいい心地よさを感じ始めている自分がいます。
車格やカテゴリーとは関係なくフィールドを広げて楽しむために、私も含めて50代40代のバイクを乗り継いできた方には懐かしいVツインエンジンのVTRを、ダウンサイジングで楽しむことにしました。
今回VTRを選択したわけは、高田さんがVTR-F、Sさんがスラクストン、私がNC750X-LDで出かけた2年前の北海道ツーリングにあります。
高田さんがVTR-Fで行くって言われたときは、「エッ?スクランブラーかNC700Xじゃないんですか?積載もさることながら、排気量の違いが・・・?」と驚いたのですが、実際には高速道路からワインディングまで、スラクストン900とNC750XLDが250のVTR-Fに引っ張ってもらう感じで、道内の峠道などでは気を抜いていると車間距離が徐々に開くこともありました。
北海道へ向かったVTR-Fは、NWJCオリジナルのツーリングキャリアなどを付けたロングツーリング仕様で、キャンプ道具も含めフル積載の状態でもコンパクトにカッコよくまとまっていました。
また、道内ではとうもろこしの収穫をするトラクターを探してフラットダートを走り、若干荒れたダートもものともせず、自由気ままにフィールドを拡げて楽しむあの時の軽快な走りは、VTR―Fのポテンシャルを甘く見ていた私には忘れられないものでした。

VTRもスタンダードのままでは!?

先ずスタンダードのまま乗ってみます。跨ってサイドスタンドを払おうとすると右側に少し倒し気味でないと払えません。サスペンションがヘタっている様です。
最近の車両の傾向なのか、VTRもNCも初心者向けの設定なのか?それともコストダウンになっているのか?
新車から慣らしも終わり4000Km5000Kmの内は、サスペンションもカシッとして踏ん張って丁度いい感じだけど、車両も馴染みが出て乗り手も車両に馴染んだ6000Km~8000Km前後ではヘタリが始まるようです。
一気にその状態になる訳ではないので、ちょこ乗りぐらいでは気付きづらく、『何となく違和感がある』っていう表現になるような気がします。
トコトコ低速で走る内はまだしも少しハイペースで走らせると、サスはクタクタでコーナーでは向きが変わりづらく、ブレーキを掛けても踏ん張り切らず制動距離が長くなってしまいます。ロングツーリングはとても無理です。
2年前に北海道へNC750X LDで行った時にサスの異変を感じたのと同じ症状のようです。
VTRの場合LD設定のモデルもあり、足付き性は初心者向けなのにハンドル位置は意外に遠く、少し前傾になって自由度がありません。この辺りは初心者向けとはとても言えません。
このハンドル位置ではベテランでも長距離ツーリングなどでは辛くなり、乗り続けることが億劫になると思います。初心者向けの設定とするならば、シート・ステップ・ハンドルのバランスを改善したいところです。
そこで、VTRでダウンサイジングする楽しさを実感されているNWJCの高田さんから、実体験に基づくVTRに関するメンテナンスやモディファイを指南していただきました。

↑調整前(写真左)と調整後比較
早々にVTRの実力を自らが実体験をする為に、何かと大忙しの高田さんに「VTR 2台で長距離ツーリングに行きましょう!」と声を掛けたら、快く引き受けていただき、1泊ツーリングへ出発することとなりました。
高田さんからは「キャンプやろ?」と言われましたが、荷物をフル積載できるツーリングキャリアがまだ付いていないので、キャンプは次回ということに。

全国的に寒気が強まるという荒れた天候の中で西へ向かいます。西方面は高田さんのお気に入りですので、道先案内をしていただきました。目的地は、今年の1月にNWJCコンプリート3台で四国・中国地方ツーリングの際、軟弱な私がキャンプを断念してビジネスホテル泊に予定変更してもらった3泊目の津山です。

岐阜を出る時は天気予報でも晴れということでしたが、日本海側に出ると、どんよりと鉛色の曇り空となり冷たい雨模様。外気温度は3度前後で、もう少し冷えると霙や雪に変わるような真冬のツーリングとなりました。

肩を痛めてから中指と薬指が冷えると痺れ易くなり、グリップヒーターと僅かながらのハンドガードを付けた仕様は、特に寒い雨の中国道では威力を発揮し大正解。

入り組んだ道をカブ感覚で走る

2日目は、曇り空で霧のかかる津山を後にして、霜が降りている田園風景の中を北上。暫く走り古民家の立ち並ぶ街並みの入り組んだ道を、まるでカブに乗っているように彼方此方へフラフラ見て走り回りました。

ビッグバイクの場合は、意識をしてスロットルを抑えながら開なければなりません。車格も車重もあると、低速でバランスを取りながらの走行は緊張すらすることになります。しかし、エンジン調整などメンテナンスを施した軽量コンパクトなVTRだと、正にカブ感覚で一般道を走れて、無意識にスロットルを開けても丁度いい感じで、ダウンサイジングした良さを感じます。

智頭町の旧い町並みをフラフラの走りながら、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』のパン屋さんのある街であることを思い出しました。
これからのバイク屋の在り方を考えるに辺り、指針の一つとして非常に参考になった本です。

距離を乗って馴染みが出て来てこそ本来の性能なのでは?

今回VTRに組み込んだサスペンションは、高田さんが北海道へ行ったVTR-Fと同等の仕様で、どちらかと言うとベテランがフル積載状態でロングツーリングを楽しむハード仕様。

走り始めた直後は、ゴツゴツしてギャップなどでは跳ねるような感じだったので、「固い感じで跳ねる感じなんですけど?」と高田さんに聞いてみました。
「サスもナラシが必要だから慣らして馴染めばシックリくるから。昨今の新車や君のNC750X LDのように馴染んできた頃にクタクタの足回りでは乗れた物じゃなくなるだろ」・・・確かに言われる通りでした。
走行距離も500Kmを超えたあたりから、まだ少し固い感じもあるけれどだいぶ馴染んできて、突き上げる感じがなくなって角が取れてしなやかな動きになりつつあります。
今更ながらではあるけれど、コンディションを整えて本来の性能を出すために、変化する状況を実体験する重要性を実感しました。
帰路では全線を国道と県道を走りつなぎました。田園風景の中の快走路から、路面に苔がつき、落ち葉が敷き詰められた車1台がやっとの峠道など、どんな道に出くわそうとも躊躇することもなく、構えることもなく走り続けることができ、ダウンサイジングする良さを実感できたように思う。

34年の歴史のあるVツインエンジンのVTRは、シングルのCBR250Rと違い低速のトルクもあり、尚且つ5速ミッションとのマッチングもいいので、少々ラフなチェンジをしてもエンジンがついてくる所がロングツーリングにも扱い易くてありがたく感じます。

試乗車で使っていたCBR250Rの6速ミッションの場合、ワインディングをスポーツライクに楽しむのであれば頻繁なチェンジも楽しいのですが、ロングツーリング等では、僕の様にずぼらな者には小忙しくて面倒です。
VTRならではのVツインサウンドも心地よく、目を三角に釣り上げることなくVツインの全域を使ってフルスロットルにできる爽快感もあり、操っている感があって楽しくなります。
こんなに楽しめるエンジンの乗ったキャラクターなのですが、足回りやライディングポジションなどトータルバランスには違和感があります。そして、初心者向けのエントリーモデルなのか大袈裟なキャッチフレーズで、『大人のバイク』とは何のことやら・・・。
今回初めてのVTRでのツーリングではあったけれど、得るものが沢山ありました。

ダウンサイジングの最強ツアラーは、やはりカブ110NWJCコンプリートだと思います。しかし、もう少し時間に制約のあるロングツーリングをしようとした時、カブ感覚で高速にも乗れるVTRは最適なのではないでしょうか。ダウンサイジングによる等身大のバイクライフの1つのスタイルとして、大型バイクと同じように積載もでき、ロングツーリングも愉しめる車両にしていきながら、その様子を伝えていきたいと思います。
※番外編 高速道路のパーキング2輪車駐輪場の前がゴミ箱とは?2輪車が蔑ろに?

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